まめ書架

読書、映画、ときどき音楽。あるいは芝居。

【小説】いとうせいこう『想像ラジオ』

この本を読むたび、死んだじいちゃんのことをおもいだす。もうずいぶん前のことだから、ラジオはやってないかもしれない。それでも、わたしはラジオが聞きたくなる。じいちゃんといまならいろいろ喋れるのに、とおもう。 いとうせいこう『想像ラジオ』想像ラ…

【新書】上野千鶴子『女たちのサバイバル作戦』

なんちゅう時代に生まれたんだ、とおもった。 上野千鶴子『女たちのサバイバル作戦』 女たちのサバイバル作戦 (文春新書 933) 作者: 上野千鶴子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/09/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る 「男女雇…

【評論】ヴァルター・ベンヤミン『ボードレール他五篇 ベンヤミンの仕事2』

本を開いて読む。読み進める。途中で何の話をしているのかわからなくなって、すこしもどる。こんなところを読んだ記憶がなくて、いっそ最初から読む。さっきより少し進んだところでまたたちどまる。いったい何の話をしていたのだっけ。また読み返す。すすま…

【新書】中澤二郎『働く。なぜ?』

どうしてはたらくのか、と聞かれて、あなたは答えられるだろうか。 仕事がたのしい?お金が必要?自己実現?社会の一員としての義務? この本は生きてゆくうえで「なぜ働くか」を考えるときに数多湧きおこる疑問へのひとつの回答に、 なると、思って、読んだ…

【対談】上野千鶴子・信田さよ子『結婚帝国』

世は婚活ブーム。誰もかれも、すこしでも「いい男」を手に入れんと女子力をみがきあげている。 そうして結婚したはいいけれど、ダンナに暴力をふるわれたり、不愉快なセックスを強要されたり、四人分(舅・姑・両親)の介護が待っていたり、就労をつづける友…

【映画】ルイ・マル監督『死刑台のエレベーター』

自分の会社の社長夫人と一線を超えた仲の元軍人で英雄は、社長殺しを決行する。しかしその日はたまたま土曜日、忘れ物を取りに帰った会社のエレベーターに閉じ込められてしまう。路駐の車にキーは差しっぱなし、サイドボードに拳銃はいれっぱなし。車に乗り…

【映画】スタンリー・クレイマー監督『渚にて』

ソ連との戦争により投下された原子爆弾によって、北半球は全滅した。唯一生き延びたアメリカの潜水艦は、放射能汚染がまだ進んでいない南半球・オーストラリアに寄港する。しかし、全滅したずのアメリカ・サンディエゴからモールス信号を受信し、調査にむか…

【詩】西條八十『白孔雀』

あざやかな色彩、きらめく宝石。 隙間にそっと忍び込む、死の陰影。西條八十の詩は、冬がよく似合う。 西條八十『白孔雀』訳詩集 白孔雀 (岩波文庫)作者: 西條八十出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/10/17メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 西…

【小説】フリオ・コルタサル『遊戯の終わり』

今まさに読み終えようとした本の登場人物に背後から刺される男、岸辺に打ち上げられた自分の死体を眺める男、セーターのなかで悶え苦しんでいるうちに12階の窓の外に飛び出してしまう男…現実は夢、夢は現実。 フリオ・コルタサル『遊戯の終わり』遊戯の終わ…

【映画】リドリー・スコット監督『ブラックレイン』

子あり・バツイチ・借金まみれ、麻薬取引現場で現金着服容疑のダメ刑事は、犯罪者護送の任をうけ、後輩とふたり、飛行機に乗りこんだ。向かう先は、空は排ガスと蒸気に煙り、アスファルトは雨にぬれそぼる、ヤクザとバイクと背徳の不思議都市・オーサカ。 リ…

【映画】ソフィア・コッポラ監督『ロスト・イン・トランスレーション』

♪はっきりさせなくてもいーい あやふやなまーんまでいいー 僕達ーは なんとなーく 幸せに……しあわせ? ソフィア・コッポラ監督『ロスト・イン・トランスレーション』 ロスト・イン・トランスレーション [DVD]出版社/メーカー: 東北新社発売日: 2004/12/03メ…

【小説】吉本ばなな『白河夜船』

先の見えない恋が不安だった。友達が死んだことが悲しかった。それもある。 でもそれだけでもない。何も見たくなかった。何も考えたくなかった。 この世の自分の存在証明のようなものを、失いかけていた。ただただ眠かった。 吉本ばなな『白河夜船』白河夜船…

【小説】高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』

運転手さんそのバスに、僕ものっけてくれないか?行き先は――野球。 高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕 (河出文庫)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2006/06/03メディア: 文庫購入: 1人 クリッ…

【小説】カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』

村上春樹、高橋源一郎、今敏、松尾スズキ、ジョン・アーヴィング... わたしの好きな作家たちは、みんな、この人につながっていた。この人がいなかったら、いったいどれだけの小説家が世にあらわれなかったのだろう。 カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタ…

【小説】松浦寿輝『川の光』

詩人であり、大学教授であり、夢とあわいの空間を描く小説家、松浦寿輝。 評論『スローモーション』、小説『もののたはむれ』『そこでゆっくりと死んでいきたい気持ちをそそる場所』など、わたしも何作か読みました。小説はまだなんとか太刀打ちできましたが…

【演劇】松尾スズキ『キレイー神様と待ち合わせした女ー』

(※Facebookより再掲) "だけど、あなたがそのことで苦しんでいるのなら、やり直すのよ。それって、悪くないわ" いやなことも、ばっちいことも、外にはあると気づいてた。それでも私は外に出た。キレイな花が見たかった。 松尾スズキ脚本・演出『キレイ -神…

【小説】タオ・リン『イー・イー・イー』

(※Facebookより再掲) 寂しいんだ。 すきな女のこにはあえない。友達もいない。職を失いかけている。超絶ネガティブな思考回路はぐるぐると同じところを巡りつづけて、脳みそがとろけてバターになりそうだ。面白くなるにはどうすればいいか、わからない。 …

【エッセイ】杏『杏のふむふむ』

(※Facebookより再掲) もっと年上だとばかり、思っていたのです。すらりとした長い手足、凛とした表情、そこにいるだけで存在感のある佇まい。ウィットにとんだ、深い知性をかんじさせることば。時々のぞかせる、すっとぼけたような表示もまたすてき。 わた…

【小説】ジェイン・オースティン『自負と偏見』

(※Facebookより再掲) 舞台は19世紀初頭のイギリス。 この小説の登場人物たちは、土地の維持管理を収入源としているため、一切働きません。商人の親戚と付き合いがあるだけで、「下賤」あつかいされてしまうような世界に暮らしています。 自ら働かない、家事…

【番外】豆を煮るために料理本を探すはなし

(※Facebookより再掲) 年の瀬である。おせちの季節である。今年のおせちは、ちょっこし手作りするのである。 私がおせち作成を試みるのは初めてだし、ありふれた、作りやすいものにしようとおもう。だし巻き卵、里芋、きんぴら… しかし、問題は、黒豆である…

【小説】カズオ・イシグロ『夜想曲集~音楽と夕暮れをめぐる五つの物語~』

(※Facebookより再掲) "ヘレンが電話を切る直前、おれは「愛してるよ」と言った。(中略)ヘレンも同じ口調で同じことを言い、電話を切った。いったいどういう意味だったのだろう。" 男と女がいる。彼等は夫婦だったり、大学時代の友人だったり、たまたま同じホ…

【漫画】みつはしちかこ『小さな恋のものがたり 第43集』

(※Facebookより再掲) 「でもチッチ ぼくたちは永遠にぼくたちではいられないんだ」 すべてのエピソードにちりばめられた、終わりの予感。そう、終わってしまうのだ。52年続いた初恋が。 みつはしちかこ『小さな恋のものがたり 第43集』(完結) 小さな恋のもの…

【小説】川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』

(※Facebookより再掲) すきな男の子に抱かれているときに、冷蔵庫が低くうなりはじめるのを聞いて、あぁこのひとのことを私はすきではないのかもしれない、ほんとうの意味ですきなわけではないのだな、と気づいてしまい、さみしくなったことはありますか。 …

【漫画】高野文子『ドミトリーともきんす』

(※Facebookより再掲) ドミトリーともきんすは学生寮。とも子さんと、娘のきん子ちゃんの二人が経営しています。ともきんすで暮らしているのは、科学を勉強する学生さん。寮生は四人。 朝永振一郎牧野富太郎中谷宇吉郎湯川秀樹 高野文子『ドミトリーともき…

【漫画】市川春子『宝石の国』①~②

(※Facebookより再掲) 近所のTSUTAYAが漫画のレンタルをやっている。DVDを借りたら、5冊レンタル無料券が当たったので、せっかくなので借りてみた。 市川春子『宝石の国』①~② 宝石の国(1) (アフタヌーンKC) 作者: 市川春子 出版社/メーカー: 講談社 発売日…

【映画】サリー・ポッター『耳に残るは君の歌声』

(※Facebookより再掲) イグアナ版『ゴジラ』を借りるついでで、邦題がいいという理由で選んだのに、見入った。 サリー・ポッター監督『耳に残るは君の歌声』 耳に残るは君の歌声 [DVD] 出版社/メーカー: アスミック・エース 発売日: 2005/11/25 メディア: D…