まめ書架

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【映画】サリー・ポッター『耳に残るは君の歌声』

(※Facebookより再掲)

イグアナ版『ゴジラ』を借りるついでで、邦題がいいという理由で選んだのに、見入った。

 

サリー・ポッター監督『耳に残るは君の歌声

 

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100分弱の短めな映画ですが、必要最低限の描写しかされておらず、歴史的背景やカットの間に何がおこったかを脳内補完しながら見るため、じゅうぶん満足感があります。
涙があふれてとまらなくなるような映画ではありませんが、染みます。

セリフの少ない映画です。ふんだんに使用されるのが、オペラをはじめとする歌。特に、劇中でつかわれるジプシー(今は差別用語とされているので「ロマ」という)の音楽が、いい。

なんとよべばいいのだろう。哀愁...郷愁?そういうやわらかめな言葉ではなさそうです。

明るい曲調なのに、せつなくなる。

ポッター監督は”渇望”という言葉で表現していました。

この映画の登場人物たちは、それぞれ何かを”渇望”している人たちばかりです。彼らは、戦争の影響もありますが、「おまえは異国の人間だから」という理由だけで、家族や恋人や言葉や故郷や地位が失われてしまいます。二度と元にはもどらない。

さみしい。とてもさみしい。そのさみしさに「さみしいね」と答えてくれるひとはなく、さみしさをつたえることばもない。

あまりにさみしくなってきたので、その夜はスピッツ聞きながら寝ました。
スピッツはさみしさによく効きます。