まめ書架

読書、映画、ときどき音楽。あるいは芝居。

【漫画】高野文子『ドミトリーともきんす』

(※Facebookより再掲)

ドミトリーともきんすは学生寮
とも子さんと、娘のきん子ちゃんの二人が経営しています。
ともきんすで暮らしているのは、科学を勉強する学生さん。
寮生は四人。

朝永振一郎
牧野富太郎
中谷宇吉郎
湯川秀樹

 

高野文子『ドミトリーともきんす』

 

ドミトリーともきんす

ドミトリーともきんす

 

 

高野文子さんの作品は、単行本により作風がおおきくかわるので、一見おなじ作家の作品には見えません(写真二枚目参照。『絶対安全剃刀』は単行本内で変わる)

「ドミトリーともきんす」では、科学者たちのみてきたもの、考えたことを、手塚治虫を彷彿とさせる、丸みを帯びたやわらかい絵と、製図ペンによる均質な太さの線で描かれています。

代表作『黄色い本』で、高野文子さんは「チボー家の人々」を三年かけて読む女子高生を描きました。読書にともない、主人公の時間はのびたりちぢんだり、現の世界に登場人物が現れたりします。本を読む、という体験を、もっとも感覚的に表現される作家さんだとおもいます。

高野文子さんは科学の本のことを「乾いた涼しい風が吹いてくる読書」と表現されています。科学の涼しい風を表現するため、自分の感情をこめずに絵を描く練習をしたそうです。

物語は、熱い。
物語はぐいぐい近づいてきて、触れる人に共感や同一化をもとめてくる。
しかし、科学は物語を、人間の事情を一度棚上げしてしまう。

物語「木が(家が、山が、)燃える。」

科学「木片の粒子と酸素が化合してエネルギーを発する。」

「ドミトリーともきんす」に住む 四人の寮生は、冷たい風のふく世界のことを、私たちにも伝わることばで教えてくれます。彼らが私のドミトリーにも遊びにきてくれればいいとおもいます。