【漫画】みつはしちかこ『小さな恋のものがたり 第43集』
(※Facebookより再掲)
「でもチッチ ぼくたちは永遠にぼくたちではいられないんだ」
すべてのエピソードにちりばめられた、終わりの予感。
そう、終わってしまうのだ。
52年続いた初恋が。
みつはしちかこ『小さな恋のものがたり 第43集』(完結)
私が小学生のころ、母がばあちゃん家の物置から出してくれたのが、この漫画でした。
初めて読んだ少女漫画。友達は「なかよし」や「りぼん」を読んでいました。あるだけ全部、テレビ台のしたにずらっと並べて、学校から帰ってきたら、妹と取り合って読みました。全巻読み終えても、また繰り返して読みました。
チッチの握る、真ん丸おにぎりに憧れたなあ。
野原でピクニックシート広げて「いたらきまーす」って食べるのだ。
背はちっちゃいし、足はマッチ棒みたいだし、数学の成績は壊滅的。
でも、チッチはかわいい。野の花たちと会話してみたり、朝顔のつぼみが開く瞬間をみるために早起きしたり、デザートのさくらんぼにキスしてみたり、お祭りにはかならず浴衣を着ていったり、とにかくチッチは、かわいい。
なんでこんなかわいい子が、サリーみたいなのと付き合ってるの!
岸本さんにしなさい、岸本さんに!!
サリーなんて、顔が良くて背が高くて成績優秀なだけで、すぐ浮気するし、花の名前はちっとも覚えないし、ろくな奴じゃないわよ!!
って、はらはらしながら読みました。
(でもそんなサリーが好きなのだチッチは。かわいいなぁ。)
ああ、でも、終わってしまうのだ。もう続きはでないのだ。みつはしちかこさんは73歳。病を得て、思うように動かない右手でチッチを、トンコちゃんを山下くんを岸本さんを松木さんをマユミをゴータローを書いたのだ。
泣けてきた。でも完結してよかった。
みんなありがとう。それぞれ幸せにおなり。
それにしてもチッチ、いまよむと、かなり「こじらせ」ている。
すぐぶーたれるし、嫉妬するし、私なんか、っていう。
この漫画がこれほど長く、たくさんのひとに愛されてきたのは、たぶん、チッチみたいなすべての女の子の居場所がここにあるからなのだと思う。