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まめ書架

読書、映画、ときどき音楽。あるいは芝居。

【小説】ジェイン・オースティン『自負と偏見』

(※Facebookより再掲)

舞台は19世紀初頭のイギリス。 この小説の登場人物たちは、土地の維持管理を収入源としているため、一切働きません。商人の親戚と付き合いがあるだけで、「下賤」あつかいされてしまうような世界に暮らしています。

自ら働かない、家事も召使に任せきり、身分もそうそう動かせない…
となると、することはひとつ。
良家の殿方・姫君と結婚できるように、あの手この手を尽くすのみ。

 

ジェイン・オースティン自負と偏見

 

自負と偏見 (新潮文庫)

自負と偏見 (新潮文庫)

 

 

主人公のエリザベスは、まわりの女の子たちが良縁をえるため婚活に躍起になるのを、さめた目つきで観察しています。母親は5人娘を一人でもはやめに「片付け」たくて必死、年下の妹達までムコ探しに血眼になっていて、分別も道徳もあるようには思えない。友達は安定収入とそこそこの身分につられて、ろくでもない男と結婚した。とはいえ、自分もそろそろ結婚を考えなくちゃいけない。姉は近所に越してきた男性と恋に落ちたようだが、さて、自分は…。

文庫本600ページの長編ですが、内容はエリザベスの心理描写と人間観察に費やされます。最終的に、エリザベスは、身分や財産や周りの反対にとらわれず、自分でパートナーを選びます。ようするに、彼女は自由恋愛を経た結婚、「恋愛結婚」をする女性として描かれています。

肉体関係の伴わない観念的な愛のことを「プラトニック・ラブ」といいますが、この小説の登場人物たちは、それができるだけの身分と時間をもっている。上流階級の恋愛模様を描いた小説が、庶民にも広く読まれるようになり、「恋愛」という概念が広まった、ときいたことがあります。ちなみに、日本で「恋愛結婚」がはじまったのは戦後、1960年代のこと。恋愛は、とても最近の文化なんですね。

さて、エリザベスとその周辺の恋だの愛だのも、かなり楽しく読み進められます。
しかし見所はそこじゃない。
この小説の真の見所…
それは、ミスター・コリンズ。

三日間で二人の女性に求婚!(主人公は"奇行"と一刀両断!)
プロポーズのことばは「あなたなら僕を幸せにしてくれるでしょう」!
武者小路実篤にも負けず劣らず、なんと見事な勘違いくそ野郎ぶり!!

ありがとう。最高に笑わせてもらいました。