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まめ書架

読書、映画、ときどき音楽。あるいは芝居。

【演劇】松尾スズキ『キレイー神様と待ち合わせした女ー』

(※Facebookより再掲)

"だけど、あなたがそのことで苦しんでいるのなら、
やり直すのよ。それって、悪くないわ"

いやなことも、ばっちいことも、
外にはあると気づいてた。
それでも私は外に出た。
キレイな花が見たかった。

 

松尾スズキ脚本・演出『キレイ -神様と待ち合わせした女-』

キレイ[完全版]: 神様と待ち合わせした女
 

 

大学の先輩と観劇してきました。
松尾スズキの代表作で、2000年、2005年に続く再演です。今度の主演は多部未華子さん。かわいらしすぎて始終キュンキュンしてました。準主演の松雪泰子さんもふつくしかった。それでいてかわゆかった。

うつくしかわいいって、なんなんだ。
もう、抱きしめてやる、えいっ!

この脚本が好きで、学生のころに2005年版をビデオで見て、単行本も持っていて、だいたい次になにが起こるか台詞レベルで知ってるんですが、それでいてもなお、こんな話だったのかーと、ボロボロ泣きながら思いました。泣きすぎてビビられました先輩に。

泣くよ!にんげんだもの!

2階の最後尾という凄まじい場所でしたが、幸いにもど真ん中だったので、十分堪能できました。急遽購入したNikonの双眼鏡も素晴らしい活躍をしてくれました。ちょっと高いけど買っといてよかった。多部未華子さんの表情もクッキリ見えました。あと照明のもようもきれかった。

この脚本には土台があります。それが、松尾スズキの超初期作品『マイアミにかかる月』…あるかなしかのつながりですが、どちらにも"カスミ"という名の女が登場し、食用人造人間が現れ、戦争があり、ススメバチに刺されて特殊能力を手に入れた人物がおり、"親切"が主題の一つとなっている。(ちなみに『マイアミ~』の土台にはカート・ヴォネガットの作品群があります。ヴォネガットの小説には、"親切"をはじめ、ユーモアとヒューマニズムに溢れた作品が数多く存在します。)

親切ってなんだろうか。松尾スズキ作品では、親切を発揮した人物はたいていひどい目にあう。死んだりする。死ぬ権利を与えられたかのようにとても印象的に死ぬ。ちなみに、親切ではないやつも、最後までどうしようもない感じのまま、 どうしようもない形で、 やっぱり死ぬのだけれど。

『マイアミにかかる月』にはこんな台詞がでてくる。

"(花を手渡され)どうして私に?"
"なぜって…嫌われたくないから"

嫌われたくないひとに花をあげる。
花のきれいは永遠じゃないけど、いまはきれいだ。
カート・ヴォネガットにも、「愛は滅びても親切は勝つ」ということばがある。

ところで、冒頭の台詞は、こんなふうに続く。

"それでもきっと、私はあなたが好きよ"

この世に、これ以上親切なことばがあったら、教えてほしい。