まめ書架

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【小説】シオドア・スタージョン『輝く断片』

"いままで女を抱いたことは一度もない。だが、こわくはなかった。"

最初の一文で物語の楽しさはだいたい決まる気がする。
これは、好きだ。きっと愉しい。

シオドア・スタージョン『輝く断片』

輝く断片 (河出文庫)

輝く断片 (河出文庫)

冒頭の一文は表題作。ほかにも、「取り替え子」のファンタジックな世界も好きですし(赤ん坊に振り回される主人公がたいへん楽しい)、「君微笑めば」のサイコワールドも好み(藤子・F・不二雄に漫画化してほしい…)。訳者の大森望さんに、あとがきで「説明がどんくさくてSFとしては失敗作(※意訳)」と一刀両断されていますが、「旅する巌」も好きです。作家の生態や編集者の苦悩に三角関係のディティールが楽しい。

うん…たしかに一番楽しいのがSFのくだりでないのは、SFとしてどうなん。でもラストは好き。

大好きな作家、カート・ヴォネガットが影響を受けたと聞いて手にとりました。ヴォネガット作品に登場する短編小説家、キルゴア・トラウトのモデルになったと言われているそうです。たしかに、ユーモアセンスが似ている気がする。ちょっと間の抜けたひとたちにつかの間あてられるスポットライト。

ユーモア、ってすてきです。英語でかくと「Humor」。

どっちが語源か忘れましたが「Human」に通じるのだとか。

ユーモアって、人間にしかできないのです。