まめ書架

読書、映画、ときどき音楽。あるいは芝居。

【映画】ジョン・G・アヴィルドセン監督『ベスト・キッド』

映画じゃよくある話です。

ひ弱でいじめられっこな主人公が、父親代わりの師匠のもとで男としてたくましく成長し、いじめっこを負かす、みたいな。音楽もときどき耳障りだし、画面の面白さもそんなにない。家族でごはん食べながら、ポケーっと見ていられる。

でも。

でもでも。

わたし、すっごい面白かったんです、この映画。

 

ジョン・G・アヴィルドセン監督『ベスト・キッド

 

 

このさい、「ヴィンテージカーならべて日本庭園に暮らしてる修理工の日系じいさんってなんだそれ」とか「盆栽ってそんな刈り込んでいいもんなの?」とか、細かい疑問はおいておきます。外国映画のなかの日本像が多少狂っているのは今更だし、きっと日本映画だって似たようなことをやっているはず。

 

それはともかく。

この映画、ベタベタな展開のくせに、ものすごく楽しく見られました。

なんかしらんが、観ていて気持ちがいい。

 

想像通りに物語がすすむ気持ちよさではありませんでした。アパートの修理工・ミヤギ老人と、その教えに従うダニエルさん。弟子を常に「さん」づけで呼んでいるミヤギ老人や、ペンキ塗りやらワックスかけやらをやらされ続けて一度は反抗するけれど、自分にちゃんと「カラテ」の力がついていることに驚いてその後は一切文句を言わなくなるダニエルさん。こういう師弟関係が、すごく気持ちよかった映画でした。ダニエルさんの恋人との仲たがいも一瞬で片付いたし、おかあさんはキャリアウーマンでほとんど口出ししてこないし、よくある青春映画のように、大声だしたり雨に打たれたりしないところもいいです。

そんな感じでこの映画、ベタベタな展開のわりに、スッキリと見られるのです。

 

一点、気になったのが、ミヤギ老人も、ダニエルさんと敵対するカラテ道場コブラ会』の師範も、従軍経験者、だということ。ミヤギは米軍に従軍していた日系人、妻と生まれるはずだった子どもは収容所で死亡。コブラ会師範はトロフィーや写真を道場に飾って力をアピールする白人。それでこのコブラ会師範が、すごく嫌なやつなのです。悪人面だし、「弱い奴は死ね!」と言わんばかりの言動をとるし、弟子たちにひきょうなまねをするよう平気で命じる。

なんだかとても、不思議な設定です。1984年公開で、太平洋戦争での従軍経験がある人たちがでてきてもちっとも不思議ではないけれど、単なる「虚弱少年の成長譚」には不要のはず。それに、アメリカ映画って、どちらかというとこういうタイプのタフガイを「父親代わり」に据えるものじゃなかったろうか。

 

あっ。

わかった。

コブラ会の師範は、ベトナム戦争のとき従軍していたのか。年齢的に。しらんけど。

 

もちろん、こんなこと考えずとも楽しめますが、というか考えないで楽しむほうがいいとおもうのですが、それでも、そういうところが、このドストレートな成長譚が名作たるゆえんかなあ、と思ったりのです。