まめ書架

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アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督『レヴェナント:蘇りし者』

アラスカのいきものたちの写真を撮り続けたカメラマン・星野道夫は、ヒグマに襲われて死んだ。星野道夫が撮影した写真をみていると、なんだか、そのエピソードはふさわしいような気がしてくる。こんなに美しく、いきものたちの写真を撮影できるひとなのだから、そういうふうに死んでしまうのが、間違っていないかんじがしていた。

そうおもっていた、わりと。

グリズリーに噛まれ、切り裂かれ、のしかかられているディカプリオを観ながら、わたしは星野道夫のことを思い出していた。

 

アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督『レヴェナント:蘇りし者』

※リンクは原作小説

 

レヴェナント 蘇えりし者 (ハヤカワ文庫NV)

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いやいや、星野道夫の写真がいくら美しいからって、クマに襲われて死ぬときは、きれいごとなんかじゃないだろう。死にもの狂いで抵抗したろうし、痛かったろう。そりゃあもう、痛かったろう。

この映画もまた美しい。突如視界をうばう吹雪も、夜空にまいあがる火の粉も、どうどうと流れおちる滝も、太陽も、くまも、馬も、すべてが美しい。「人間の醜さ」みたいなちんけなものと対比ができないほどに、自然はけわしく美しい。いったいどうやって撮影したんだろう。何人か死人がでてるんとちゃうか(←そんなことなかった)

観終わったあと、なんばの雑踏のなかで、わたしはくまにも襲われず、突如飛来する弓矢におののくこともなく、雪原の寒さに震えることもないのだと、実に不思議におもっていた。

ちょっと、星野道夫のエッセイを読んだ後のかんじににていた。

 

 

イニュニック「生命」―アラスカの原野を旅する

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旅をする木 (文春文庫)

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