まめ書架

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ピート・ドクター監督、ロニー・デル・カルメン監督 『インサイドヘッド』

「大丈夫、あなたがだいすきだよ」と言ってくれるものは、どんなときも自分の内側にある。

 

ピート・ドクター監督、ロニー・デル・カルメン監督
『インサイドヘッド』(2015,アメリカ映画)

 

 

よかった。面白かった。結構泣いた。私も人の心持ってた(くどい)ピクサーの必殺技「とことんしらべる」と「視覚化して伝える」がいかんなく発揮されていて、たとえば意識の門番やら明晰夢の作られ方といったシーンが何の説明もなくさらっと出てくる、最高に変で最高に楽しい映画でした。フロイト読みたい。

一か所、3D的だったキャラクターたちがポリゴンっぽくなり、二次元になり、一次元になり...という、なんか面白いけど意味がわからんシーンがありまして、調べたところ、「抽象思考のプロセスの視覚化」だったことが判明しました。

 

どういうことなのピクサー。天才なの?

 

さて、舞台は11歳の女の子・ライリーの頭の中。脳の司令塔に常駐している、感情をコントロールする5つの感情、ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミたちが、ライリーの転校という大イベントをきっかけにして、パニックになる様子が描かれます。

ってこれ、すごい変な設定。

普通、「ライリーの転校」がテーマの映画で描かれるのはライリーが戸惑う様子のはずだ。たとえば、クラスのやんちゃな女子にいじめられるとか。でも、この映画ではそういうことは起こらない。ライリーの感情たちが、ライリーのことを思ってそれぞれなんとかしようと脳みその中を動き回るだけだ。

 

感情たちの行動や、脳内にあるいろんな施設は見ているだけでも楽しい。でも、終盤ボロボロ泣けてくるのは、これが全部「ライリーの頭の中」で起こってるってことに気付いたときだ。

どれだけ落ち込もうが、どんなしんどい目に遭おうが、数えきれないほどのたのしい、かなしい、さまざまな記憶があって、むかし側にいてくれた架空の友達がいて、それらが全部私の中にあって、今の私を動かしている。

ただ、私がおもいだせないだけで。

 

劇中、感情たちが何度も朗らかに宣言するのは、

 

「わたしたちは皆、ライリーがだいすき!」

 

ってことだ。つまりそれは、ライリーは「ライリー」が好きってことだ。

誰が何と言おうとそうなのだ。

 

馬鹿みたいでも、それって最強じゃないだろうか。