まめ書架

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大瀧純子『女、今日も仕事する』

大学をでてみたはいいけれど、就職してみりゃ出世には格差がありあり見える。結婚、妊娠、出産とくれば仕事を手放して当たり前だ。そして30歳を超えてからの再就職は簡単なことではない。

 

とかく、女の仕事はやっかいだ。

それでも、女はきょうも仕事する。

 

大瀧純子『女、今日も仕事する』(ミシマ社、2015年)

 

女、今日も仕事する

女、今日も仕事する

 

 

 

現在、会社の社長を務める大瀧さんの、今までのはたらきざまが綴られている本。本文もさることながら、帯のことばが最高です。

 

”「ワークライフバランス」「自己実現」「バリキャリ」…
 どれもピンとこない女性たちへ”

 

この三つの「ピンとこない」ことばに通じるのは、どれも、自分自身の選択で解決できる問題のように感じられることだとおもいます。

でも、そんなことってあるだろうか。

ワークとライフを分けて考えることはできるだろうか。会社のなかで自分のやりたい仕事をすることや、キャリアプランは、自分自身のちからでどうにかなることだろうか。「女」に限らず男性にすら困難ではなかろうか?

当たり前だけれど、私の人生には不確定要素が山のようにあり、その偶然の積み重ねによって今の私を私たらしめている。それに、たとえ何かを選択できたとして、自分の選択にその後も100%納得し、責任を負い続けることはできるだろうか。

きっと無理だし、そういう生き方はしんどいとおもう。

やらざるを得ないことは山ほどあって、やりたいことができるわけじゃない。だいたい、それが「ほんとうにやりたいこと」かどうか自分にすらわからない。それでも、それらはどこかで今後の糧になるかもしれない。

 

でも別にならなくたって構わない。

 

大事なのはそこじゃない。

 

山のような「やらざるを得ないこと」のなかを、ちょっとだけ、前に向かって進む。その時のじぶんができる最善の道を、間違ったと判断したら引き返すことも含め、選ぶ。

 

読み終えた後、「今日も仕事する」ってタイトルがじんわり沁みる。わたしたちはみんな「仕事している」のだ。