まめ書架

読書、映画、ときどき音楽。あるいは芝居。

米林宏昌監督『思い出のマーニー』

劇場公開時に観たオットーに感想を聞くと、「背景がきれいだった」と返したこの作品。私自身、同じ評価を『ゲド戦記』『借りぐらしのアリエッティ』で下したことがあるので、前評判からしてよろしくなかったといえよう。

うん、それは認める。

でもそれ以上に、かなりヤバイ映画だった。

 

思い出のマーニー
米林宏昌監督/スタジオジブリ、2014年)

 

 

思い出のマーニー [DVD]
 

 

 

 

※以下、かつてなくディスり倒します

主人公・杏奈がヤバすぎてヤバい。教師に絵を見てもらえなくて喘息悪化しちゃうのがかまってちゃんすぎてヤバイ。親切にしてくれた子に平気で「ふとっちょぶた」とかあだ名つけちゃうのヤバイ。心開けない理由が終盤までわからなさ過ぎてヤバイ。理由が分かったところで前半の態度がヤバすぎて挽回できずヤバイ。明らかに誰もいない家を見て「誰もいないのね」とか言っちゃうの説明台詞すぎてヤバイ。夕方5時から遊びにでかけて夜までかえってこないとヤバイ。しょっちゅう泥まみれで道端に倒れてるのヤバイ。

全体的に杏奈がサイコパスっぽくてヤバイ。

ヤバすぎて、「映画的にこういう感想を抱かせたいのであろうな」というシーンや台詞は多々用意されているにもかかわらず、そういうもろもろに殆ど一切感情移入ができず、アニメ映画的な見どころもなく、なんかボーっとしてる間に終わった。

ヤバイ。

ヤバみはまだまだある。ヤバイ。

映画の冒頭、杏奈は友人たちの輪から離れて一人で絵を描いています。そこに先生が来て「絵をみせて」といわれ、彼女は照れて頬を赤らめながら絵をみせようとします。杏奈は「『見せて』と言ってきたのが学校生活における最高権力者だから」見せたように見えるのです。おそらく同級生が同じように「見せて」といってきても、彼女は見せなかったはずですし、同級生にはエグいあだ名をつけているはず。

あるいはマーニーとの出会い。杏奈はマーニーに出会って5秒で心惹かれます。でも、同じく唐突な出会いだった「ふとっちょぶた」ちゃんとは最後まで友達にはなれません。理屈では説明できない縁という以上に、マーニーが「金髪碧眼の美少女だから」一目で好きになったと思われるのです。目の色の話題がちょろっとでてきたくらいで、マーニーが金髪碧眼であるべき理由がないし。

ほんとうに、この「ふとっちょぶた」ちゃんの扱いのひどさには、「デブスとは友達になれなくても、美人のマーニーならなれる」とでも言いたいのか、とおもってしまった。そして年頃の女の子に「ふとっちょぶた」などと面と向かって言った罪は、エンドロール程度の和解では許されないとおもう。真に許されるべきなのはおまえだ杏奈。

親切にしてくれる子に対しても心を閉ざしてしまうというのにしても、もうすこし気持ちよく、杏奈を好きになれる見せ方ができたはず。たとえば杏奈も努力しているとかがあれば。それか、もしかして、杏奈とマーニーが気持ちよく可愛く動いてりゃ他はどうでもいいのか、この映画?

一応、ええ話ではあるんです。自分で閉ざしたこころをもう一度開く話、トラウマと向き合う話、自分のルーツをたどることで外の世界を見つめる話。私が挙げた程度の杏奈のヤバみにも、一応、説明はつけられる。

が、だからどうだというのだ。

おもんない。アニメとして単純におもんない。

あ、背景は綺麗でした(※結論)