まめ書架

読書、映画、赤子に翻弄される日々のことなど。

山崎ナオコーラ『かわいい夫』

お魚の焼け具合を真剣に見つめる眼差し。

毎晩、好きな詩を朗読する声。

お風呂にはいっているときでも、頼まれたらニコニコしながらバスタソースの瓶を開けてくれたりもする。

ことほどさように、山崎ナオコーラさんの夫氏は大変かわいい。

 

山崎ナオコーラ『かわいい夫』(夏葉社、2015年)

 

かわいい夫

かわいい夫

 

 

イカを食べたこととか、ちょっと俳句を読んでみたことといった、なんてことのない毎日が、山崎ナオコーラさんのなんともいえない味わい深い日本語で語られていく。つかっているのは、私と同じ言語なのに、どうしてこんなに味わい深さがちがうのだろうか。

妊娠~育児の日々を綴った『母ではなくて、親になる』もそうだったのだけれど、ぐるぐると、同じところをなんども散歩するみたいな思索が、たいへん心地いい。

 

母ではなくて、親になる

母ではなくて、親になる

 

 

一編読み終えて、新しい発見も驚きもないけれど、ちょっとだけ身の回りの風景がきらっとしてみえる、みたいなそういう心地になる。

なにより、ナオコーラさんが夫氏や我が子を慈しんでいる様子が、いい。こんなふうに大切にされている夫氏や赤子がうらやましい。

そして、そんなふうにできるナオコーラさんのことも、うらやましいなあとおもう。

 

あ、自慢じゃないけど、うちのオットーも負けず劣らずなかなかかわいい。でも関係性とは揺れ動くものだから、いつまでかわいいとおもってられるのか、今後どう変わっていくのか、わからない。怖い。

揺れるなかで、どれだけ、きれいなものを見てられるだろう。その方法を、遠くの方でそっと囁いてくれてるみたいなエッセイです。