まめ書架

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リッチ・ムーア監督『シュガー・ラッシュ』

これは...おもしろい。すごく面白い。

ストーリーがとびきり!

......という意味ではないのだけれど。

 

リッチ・ムーア監督『シュガー・ラッシュ

 

 

この映画、どこに力点をおくかで、見え方がかなり変わります。

本当は心優しい「いい奴」のラルフは、悪役で大男だからという偏見でみんなから除け者にされている。そんな彼がヒーローになることを夢見て、冒険の末ほんとうのヒーローになる、というストーリーとみれば、なんだかすごくディズニーっぽい。「実はいい奴である」ことを自分で証明する物語(ちょっとだけ『ズートピア』にも通じるところがあります。)

 

一方でラルフは、自分の「悪役」というポジションの大事さを理解せず、他人の居場所(ヒーローのポジション)をうらやんでばかりいる、じめじめした奴でもある。それが物語の最後では、自分の居場所を受け入れて大事にするようになる。ヒーローになったから状況が好転するのではなく、ラルフが悪役を受け入れたことでまわりの態度も評価も変わる、という筋にもなっている。

 

「夢をあきらめるな」と「現状を受け入れる(今いるところを大事にする)」を、おんなじ映画で言っている。この映画では、ラルフは「みんなの」ヒーローではなく、ちっちゃな女の子ヴァネロペただ一人のヒーローになることで、どっちも実現しているんです。

 

ズートピア』もそうだし、『アナ雪』なんかその極みなのだけれど、この「少々つじつまは合わなくても、全体を通じて俺はこれがいいたい」感というのは、ディズニーやピクサーの物語は本当に強いとおもう。すげえな。

ただまあ、私が一番感動したのは、「ゲーム内のキャラクターが自分でバグを修正している」ところでした。

 

なんだ、その超スペック。

 

はやく実現して。